『訪朝中止、北朝鮮の書簡原因?「好戦的」と米紙報道』
『訪朝中止、北朝鮮の書簡原因?「好戦的」と米紙報道』
朝日新聞:2018年8月29日05時00分
米ワシントン・ポスト紙は27日、複数の米政府高官の話として、今週に予定されてい
たポンペオ米国務長官の訪朝が直前に中止されたのは、北朝鮮から「好戦的」な書簡が届
いたからとの見方を報じた。
ポンペオ氏は23日、今月下旬に訪朝すると公表。しかし、同紙によると、翌24日
朝、金英哲(キムヨンチョル)・朝鮮労働党副委員長からポンペオ氏宛てに書簡が届い
た。
CNNによれば、書簡は、非核化が進展しないのは「米国が(北朝鮮との)平和協定の
締結に向けて取り組まず、北朝鮮の期待に応えていないからだ」と主張。非核化交渉は
「危機に面しており、瓦解(がかい)の恐れもある」といった内容だったという。
トランプ大統領と検討し、訪朝を取りやめるに至ったという。トランプ氏はその日の午後
のツイートで「現時点では、朝鮮半島の非核化に関して重要な進展が見られないからだ」
として、訪朝中止を指示したことを明らかにした。(香取啓介)
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(動く朝鮮半島)
「米韓演習、任務遂げる必要」 ジェフ・デービス海軍大佐
朝日新聞:2018年8月29日05時00分
■米国防総省前報道部長、ジェフ・デービス海軍大佐
米国の北朝鮮に対する「最大限の圧力政策」は外交、情報、軍事、経済の4分野からな
る。私は特に、経済的圧力が効果を上げたと思っている。経済制裁によって石油や石炭の
輸出入を制限し、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長や側近の資金源を断ったこ
とが大きな痛手となり、対話に応じざるを得なくなったとみている。
6月の米朝首脳会談は象徴的なものであり、今後、事態の打開につながる可能性もある
だろう。ただそれに伴い、米韓合同軍事演習の中止も決めた。北朝鮮側は演習が脅威だと
言っているが、目的は米韓両軍の共同作戦の能力を高め、即応能力を維持することだ。我
が軍の戦争計画は、あくまで防御的なもので、先制攻撃などは含まない。北朝鮮側が攻撃
をしてきた時に限ってのみ、発動するものだ。
米韓両軍は即応能力と相互運用力がなければ、存在意義がなくなってしまう。そのため
には、韓国軍との合同演習を通じて、戦争計画の理解を深め、韓国を防衛するという任務
を遂げる必要がある。
北朝鮮はこれまで国際的な取引や合意を破ってきている。たとえ核兵器を廃棄したとし
ても、非武装地帯(DMZ)には、ソウルを攻撃できる多数の短距離砲や迫撃砲を配備し
ている現状は変わらない。
在韓米軍のすべての兵士の「戦争が起きれば、今晩でも戦う準備ができている」という
心構えは変わっていない。米国は今後も経済制裁を解除することはない。また、ホワイト
ハウスからどのような発言が出ようとも、米軍による同盟国に対する責務は変わらないと
思う。 (聞き手・峯村健司)
*
1969年生まれ。国防総省や太平洋艦隊(ハワイ)などで報道担当を歴任。
2011年の東日本大震災時には、第7艦隊(神奈川県横須賀市)の報道責任者として
対応にあたった。