「北朝鮮もリビア方式で」 核放棄後に制裁解除
「北朝鮮もリビア方式で」 核放棄後に制裁解除
米大統領補佐官 朝日新聞:2018年5月1日05時00分
トランプ米政権で国家安全保障の政策を取り仕切るボルトン大統領補佐官(国家安全
保障担当)は29日、米テレビ番組に出演し、北朝鮮の核廃棄について「リビアの事例
が示すように、米国や他国の査察官による検証が非常に大事」と述べ、2003年に核
開発を放棄した「リビア方式」を適用させる考えを示した。
ボルトン氏はこの日、FOXニュースとCBSテレビの討論番組に出演し、「トラン
プ政権が最大限の圧力を北朝鮮にかけ続けたからこそ、北朝鮮との首脳会談が実現する
ことになった」と主張。「圧力を緩めることは交渉を簡単にすることはなく、かえって
難しくする」と述べ、北朝鮮との交渉の間も圧力をかけ続ける考えを強調した。
北朝鮮による核兵器や核燃料、弾道ミサイルの廃棄をどのような方法で確実にするの
か問われると、リビアが大量破壊兵器の開発計画放棄を約束し、国際機関による無条件
の査察を受け入れた後、米国が経済制裁を解除した「リビア方式が我々の考え方にはあ
る」と語った。
その上で、「リビアのカダフィ政権が全ての核関連施設で、米国と英国の査察を受け
入れたことで、リビアに対する疑念を払拭(ふっしょく)することになった」と主張。
北朝鮮についても全ての核計画の提示に加え、米国や国際機関による完全な検証の受け
入れが必要だと指摘。「完全」かつ「検証可能」で「不可逆的」な核兵器の廃棄を行わ
ない限り、譲歩しないという米国の姿勢を改めて強調した。
ただし、北朝鮮は段階的に非核化しながら、経済制裁緩和や体制保証を約束させる戦
略とみられる。リビアについては、核開発計画を放棄した後、「アラブの春」を機に欧
米の軍事介入を招いて崩壊したカダフィ政権を反面教師と見ており、「リビア方式」を
受け入れない可能性も高い。
一方、ポンペオ米国務長官は29日のABCテレビのインタビューで、3月末から4
月初旬にかけて極秘訪朝した際、「金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が非核
化の実現に向けた行程を作る用意がある意向を示した」と述べた。また、北朝鮮に拘束
中の平壌科学技術大学に勤務していたキム・ハクソン氏ら米国人3人の解放についても
協議したという。
(ワシントン=土佐茂生、園田耕司)
◆キーワード
<リビアの核開発放棄> リビアのカダフィ政権は米英との秘密交渉を経て03年
12月、核兵器など大量破壊兵器開発計画を認め、即時かつ無条件に放棄すると表明。
国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れ、核兵器開発に関する機材や文書を米国
に引き渡した。米国は制裁を解除し、約半年後に国交を回復。核放棄の実行後、制裁解
除などの見返りを与える先例となった。ボルトン氏は当時、軍備管理問題担当国務次官
として携わった。
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日米、圧力維持を確認 外相会談「方針、違いない」
対北朝鮮 朝日新聞:2018年5月1日05時00分
ヨルダン訪問中の河野太郎外相は30日、首都アンマンで米国のポンペオ国務長官と
会談した。河野氏は会談後、北朝鮮に対して「最大限の圧力を維持する方針について、
日米で違いはない」と述べ、北朝鮮の核・ミサイル開発や拉致について、日米が緊密に
連携して取り組む姿勢を改めて強調した。
米国が主張する朝鮮半島での「完全で検証可能かつ後戻りできない核の放棄」につい
て、河野氏は「様々なハードルが残っているが、実現しなくてはならない」と指摘。北
朝鮮の行動を引き出すために、日米韓の緊密な連携が不可欠との認識でポンペオ氏と一
致したと説明した。核放棄の期限については「日米韓で収斂(しゅうれん)していく時
期だが、米朝でやる話だ」として、米朝首脳会談を見守る姿勢を示した。
北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は、南北首脳会談で日朝対話の
可能性に言及している。ただ拉致問題について、河野氏は「解決に向けて日米がどう協
力していくかという話はしたが、手の内を明かすことになる」と述べるにとどめた。
河野氏は5月上旬に訪米してポンペオ氏と面会できるように調整していたが、両氏の
外遊先での会談となった。(アンマン=杉崎慎弥)